2014年1月21日火曜日

レイ・ブラッドベリ「ウは宇宙船のウ」レビュー

ツイッターでも紹介したクーンツの読書マラソン、44冊目はレイ・ブラッドベリ「ウは宇宙船のウ【新版】 (創元SF文庫)」です。

この本は70年間に渡って活躍した小説家、レイ・ブラッドベリが1962年までに出版した多数の作品集の中から自薦した短編を自薦しより集めたものです。それだけにベスト・オブ・ベストといえる出来になっており、作者が数多くの短篇集から自薦しただけあって他の短篇集ならトップ級の作品が目白押し。
透明感とノスタルジアに溢れた文体などブラッドベリの魅力については多くが語られていますが、ここでは特別に印象に残った対照的な二作を取り上げてみましょう。
まず、『長雨』。
金星に不時着した一行が殺人的な降雨で狂気に陥り自滅していきます。
ある者は鼻から雨が入って溺れ死に、またある者は周りから人がいなくなるのを待ち銃で自決を遂げる。
果たして中尉は安全地帯「太陽ドーム」に辿り着けるのでしょうか?
 『霜と炎』。
太陽の放射線が地表を灼く水星に不時着した人類は寿命が八日に縮んでしまいます。それでも彼らは一世代八日のサイクルで子孫を残し、少しでも寿命を伸ばすべく遮蔽物を奪い合って命脈を保とうとするのですが、そんな状況に反旗を翻した一人の少年が。ライバルの出現、ヒロインとの出会い。少年は脱出の希望となる宇宙船に辿り着けるのか。
どちらも極限状況の人間と自然との闘い、わずかな希望を掴もうとあがく壮大な脱出劇を描き出しています。その緊張感は貴方を捕らえて離さない事でしょう。
他にも
・あらゆるフィクションが発禁となってしまった世界の宇宙船員と、焚書から逃れでた文豪・そのキャラクターの亡霊との闘いを描く「亡命した人々」
・灯台の笛の音に仲間の面影を求める古代生物の悲哀を描く「霧笛」
・好意を持つ者には望むものを全て与え、敵意には敵意を以って応える惑星の「この地には虎数匹おれり」
などなど、
火星年代記 (ハヤカワ文庫SF) の次に読むなら間違いなくこれをお勧めします。
ファンタジー・SF・ホラー、ブラッドベリの変幻自在さをお楽しみください。
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