2014年2月12日水曜日

ニンジャスレイヤー キルズ KILLs 第二話「ゼロ・トレラント・サンスイ」後半レビュー

 サイバーパンクニンジャ活劇小説、ニンジャスレイヤーの現在「水曜日のシリウス」で連載中の「ニンジャスレイヤー キルズ」。今回は原作の連載でも最初期のエピソード「ゼロ・トレラント・サンスイ」の後半です。
 第一話から最新話まではこちらから読めます。

 まず冒頭で倒れ伏すミニットマンのシーンから。イクエイションの遺体から金目の物を漁ろうとした浮浪者を彼は怒りから殺害します。そしてシニフリ・ジツを用いてニンジャスレイヤーの攻撃から生き延びたことへの説明が入り、イクエイションに謝罪する独白を入れる事で二人の関係性にフォローしています。
 ここからはミニットマンによるニンジャスレイヤーの追跡シーンが続きます。
 何と言っても素晴らしいのはこの背景です。トンチキな日本語の広告看板に満たされ、貧困層がせわしなく動き回るディストピアはまさに映画「ブレードランナー」の世界。

 ここからはミニットマンが匍匐前進を中止し、変装して更に近距離を追跡するシーンが続き緊迫感が増していきます。最初から変装しておくべきでは? ニンジャスレイヤーも「忍」「殺」とおどろおどろしい書体で書かれたメンポをつけていたら変装も何もないのでは? などの漫画的突っ込みどころは目に付きますが、それはまず置いておいて、ここからは「キルズ」と原作や他のコミカライズとの違いについて目についたところを分析してみましょう。

削ぎ落とし


 まずはミニットマンが変装のために浮浪者から衣服を奪うシーンから。

逆にミニットマンは、自身の格好がいまだニンジャスーツのままである事に思い至った。衆目の中でこの出で立ちはベストとは言えない。彼は地下街の壁に寄りかかる浮浪者のボロを無慈悲に剥ぎ取った。ネオサイタマの大気に無防備に晒されれば、哀れな浮浪者は24時間以内に死ぬだろう。
posted at 21:29:32
原文では浮浪者から衣服を剥ぎ取るだけで済ませていたのに対し、「キルズ」では即死させています。24時間〜の説明も省かれています。これはどういう事でしょうか?
 違いは展開だけではありません。余湖・田畑版のコミカライズでは原作では地の文にあった説明文を漫画内にも挿入する傾向がありますが、それに対し「キルズ」では能力の説明の描写などはキャラの独白や視覚的表現に任せています。
 こうして見ていくと、他のコミカライズや原作と比べてもキルズは全体的に表現が簡潔でシンプルです。「キルズ」では背景情報を文章に頼らずに削ぎ落とす事で、漫画的な分かりやすさとテンポを優先しているのかもしれません。
 そういえば、キルズでは予告編にも単純化が見られます。原作ではそれぞれイッキ・ウチコワシとイモータル・ニンジャ・ワークショップに所属していたアムニジアとリー・アラキがニンジャスレイヤーの主な敵対組織であるソウカイヤ所属に変更されているのです。
また、原作には無かった電車内でミニットマンが人間を虐殺するシーンを入れる事で彼のニンジャとしての邪悪さを強調した形になっていますね。
 そしてミニットマンの拠点にしてニンジャスレイヤーの敵のアジト・トコロザワピラーの影と月をバックに挟んで向かい合う二人のニンジャ! この対峙シーンの絵的な美しさは相変わらず新人とは思えません。最終ページの挨拶に続く闘いが楽しみになってしまいます。次の第三話も期待大です。

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